VLAN間で通信を行う際の仕組みを徹底解説
- 2017.03.22
- 技術コラム
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前回の2017年3月18日の記事では、VLANの基本的な概要をお伝えしました。VLANでは、ブロードキャストが届く範囲であるブロードキャストドメインの分割を本来であれば物理的にルーターがその役割を果たしていたのを、OSI参照モデルのレイヤー2「データリング層」のスイッチングハブで、仮想的に分割できることをお伝えしました。
ただ、VLANでセグメントを分割後においても、他のVLANをまたいで通信を行いたいという状況は発生することが考えられます。ただし、VLANで単純にセグメントを分割しただけでは、VLAN間での通信はできません。そこで今回は、実際にVLAN間で通信を行う際の仕組みについて詳しく解説します。
VLAN間ではL2スイッチのみでは通信できない
冒頭でも記載していますが、VLANではL2スイッチでもブロードキャストドメインを分割して、それぞれ異なるセグメントとして分割できます。
ただし、VLANで仮想的にネットワークを分割した場合、分割したVLAN間で通信が必要になった場合、そのままの状態では互いに通信することはできません。VLAN間で通信を行う場合、レイヤー3で動作するルーターが必要になります。VLANでは、基本的にセグメントを仮想的に分割するのみの役割を果たし、異なるセグメント間との間でルーティングする機能は持ち合わせていません。
ルーターやL3スイッチなどレイヤー3で動作する機器は、2017年3月15日の記事「ネットワークで使われるリピーターハブとスイッチングハブ、ルータの違いとは?」で記載していますが、OSI参照モデルにおけるレイヤー3の「ネットワーク層」で規定されているIPアドレスの情報に基いて、適切な通信経路を選択した上で、必要な宛先に送信します。ワイドエリアネットワーク(WAN)やローカルエリアネットワーク(LAN)など、通信形態が異なるものにおいてもアドレス変換を行うことで通信が可能になります。
ルーターを追加せずにVLAN間で通信を行いたい場合は、詳細は後述しますが、スイッチングハブにルーターと同等の機能を持たせることで、ネットワークを構築する際、機器や配線を追加するなど再構築することなく、VLAN間での通信が可能になります。
L3スイッチ機能を搭載したスッチングハブでVLAN間通信が可能に
VLANを利用する上で、L2スイッチ単体でネットワークを仮想的に分割することができましたが、VLAN間で通信を行う際に、別途ルーターが必要になるのでは、ネットワークを再度構築する手間などが発生する事に加え、コストもその分上乗せされることになります。
この問題を解決するには、L2スイッチにルーターと同等の機能を持ち合わせている「L3スイッチ」を組み込むことで、L2スイッチのまま、追加で機器を接続することなく、VLAN間の通信が可能になります。
同一のVLAN内における通信であれば、レイヤー2のデータリンク層に基いて、フレーム内に規定されているMACアドレスを基に必要な宛先にデータを送信しますが、L3スイッチを組み込むこと、ルーターと同様に機能を持ち合わせることになりますので、OSI参照モデルのレイヤー3のネットワーク層で規定されているIPアドレスの情報に基いて、データを送信することになります。
L3スイッチでIPアドレスを設定する
異なるネットワーク間において、互いに通信を実現するには、ルーターのインターフェースにIPアドレスを付与する必要があります。今回紹介しているL3スイッチでも同様で、IPアドレスを付与する必要があります。
L3スイッチにおける、IPアドレスの設定方法は2通り存在します。1つ目は、L3スイッチ内部にある仮想的なポートにIPアドレスを付与する方法、2つ目は、L3スイッチの物理的なポートにIPアドレスを付与する方法です。
1つ目の設定方法である仮想的なポートにIPアドレスを付与する方法は、内部にVLANを作成した上でポートを割り当て、L3スイッチと各VLANを接続するインターフェース部分にIPアドレスを付与します。一方で、2つ目の設定方法である物理的なインターフェースにIPアドレスを付与する方法は、L3スイッチと各VLANを構成している物理的なインターフェースにIPアドレスを付与する方法です。
例えば、4つのポートがあるスイッチにおいて、L3スイッチでVLAN10とVLAN20を構築し、VLAN1ではポート10とポート2を割り当て、VLAN20ではポート3とポート4を割り当てた場合、L3スイッチとVLAN10のインターフェースには、IPアドレスを192.168.10.1/24を設定、VLAN20とのインターフェースには、IPアドレス192.168.20.1/24を設定します。L3スイッチは、ネットワーク全体を管轄するルーターの役割と同様であるためデフォルトゲートウェイのIPアドレスを付与します。
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