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VLANとは何か?VLANの基本的な概要を徹底解説

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最近、「仮想化」といったキーワードを耳にする機会が増えてきています。仮想化とはサーバーなどのハードウェアなどの物理的な構造にとらわれることなく、論理的な方法で機能や構造を統合したり統合できる技術です。例えば、1台のサーバー上に複数のサーバーが稼働しているかの様に動かすといったことができます。

仮想化技術は、サーバーの他、ストレージやネットワーク分野で多く使われています。今回はネットワークにおける仮想化技術である「VLAN」について概要を紹介します。

VLANとは?

ネットワーク分野においても仮想化技術を活用することができますが、具体的にネットワークの仮想化と言われても、明確なイメージができないかと思いますが、今回はネットワークについてあまり詳しくない方でもイメージしやすい形で紹介します。

はじめに、冒頭で出てきた「VLAN」とは、VirtualLANの略で、仮想的な狭域帯通信網(ローカルエリアネットワーク)と表現できますが、ローカルエリアネットワークにおいて、仮想的なセグメントを構築する技術です。

2017年3月15日の記事「ネットワークで使われるリピーターハブとスイッチングハブ、ルータの違いとは?」で紹介していますが、ネットワークにおいては、OSI参照モデルで第1層(レイヤー1)である「物理層」、第2層(レイヤー2)の「データリング層」、第3層(レイヤー3)の「ネットワーク層」などセグメント別にリピーターやスイッチングハブ、ルーターを使い分けてネットワークを構築することをお伝えしました。

本来であればブロードキャストドメインを分割する際にはルーター(L3スイッチ)が用いられますが、VLANを利用することで、本来であればコリジョンドメインのみの分割が可能なスイッチングハブ(L2スイッチ)を用いることで、ブロードキャストドメインを分割することができます。

VLANの仕組み

スイッチングハブ(L2スイッチ)は、2017年3月15日の記事でも詳しく記載していますが、OSI参照モデルのデータリング層の規定に基づき、フレーム内に規定されている宛先のMACアドレスの情報を判別して、必要な機器にデータを送信します。

ただし、L2スイッチは起動した直後は、同スイッチに接続されている機器のMACアドレス情報を持ち合わせていないため、起動して始めてフレームを送信した場合、受信ポート以外の全てのポートに対してデータを転送する「フラッディング」を行います。

L2スイッチは、フレームが送信を行うことではじめて送信元のMACアドレス情報の取得ができます。この段階で、はじめて接続されている機器のMACアドレス情報を「MACアドレステーブル」としてリスト化して登録します。MACアドレステーブルが全て埋まった状態で、始めて、送信元のフレームをMACアドレステーブルの情報に基いて必要な宛先に送信することができます。

この様に、フレームを送信できる範囲を「ブロードキャストドメイン」といいますが、これをL2スイッチを用いて仮想的に分割することで、分割して割り当てた範囲内のみにブロードキャストができるようになり、無駄なフレームを送受信する必要が減ることで、無駄な処理を軽減することができます。

例えば、1台のL2スイッチにPC1からPC4の4台の端末が接続されていた場合、そのままであれば4台の端末にフレームを送信することができますが、VLANを用いてVLAN10にPC1とPC2、VLAN20にPC3とPC4を分割した場合、PC1から送信したブレームはPC2のみに届く様になります。

VLANのメリット

L2スイッチでVLANを用いてブロードキャストドメインを分割するメリットとしては、「セキュリティの向上」と「ネットワーク構成が柔軟にできる」の2点があります。

セキュリティの向上

VLANを用いて、仮想的にブロードキャスト可能な範囲を分割することで、機器同士が直接接続できる範囲が限定されるため、ブロードキャストでウイルス感染を広げるマルウェアが届く範囲を限定することができます。

また、VLAN同士で通信を行う際は、パケットフィルタリングなどを行うことで、不要なパケットを送信することが無くなり、セキュリティの向上につながります。

ネットワークの構成が柔軟にできる

VLANを用いることで、ネットワークの構成が柔軟にできるようになるメリットがあります。物理的にルーターといったL3スイッチを用いてブロードキャストドメインを分割するとなると、物理的な配線を変更する必要があります。VLANを用いることで、既存のL2スイッチのみでブロードキャストドメインを分割することができますので、配線を変更するなど大掛かりな作業が不要となり、既存の構成を維持したまま、ブロードキャストドメインを分割することができ、柔軟にネットワーク構成が可能になります。

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