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Microsoft Exchangeとは何か?プッシュメールの仕組みを徹底解説

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通常メールをパソコンやスマートフォンで設定する際は、前回の記事で紹介したPOP3もしくはIMAPを使用することが多いです。しかし、これらは基本的にメールソフトを起動した際に新着メールの有無をサーバーに確認するため、リアルタイムでの受信ができないデメリットがあります。

リアルタイムで受信ができるようにしたものが「Microsoft Exchange」と呼ばれる受信方式です。そこで今回は、Microsoft Exchangeの仕組みについて解説します。

プッシュ通知と自動受信ができる受信方式

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Microsoft Exchangeとは受信した電子メールを、パソコンやスマートフォンなどのクライアント端末にプッシュ通知(電子メールが届いたことをリアルタイムで通知)により自動受信が可能なメールの受信方式です。

そもそも、「メールは自動で通知が来るのでは?」と疑問に思う方が多いと思いますが、例えば、日本で長年利用され続けている携帯電話のキャリアメール(携帯電話会社が提供しているメールアドレス)は、携帯電話自体が常に携帯電話事業者が用意しているサーバーと常に連携されるように最適化されていたことから、プッシュ通知があたり前のように利用されていた経緯があります。

しかしながら、海外では携帯電話会社がメールアドレスを用意するということはなく、多くの場合、電話番号によるSMS(ショートメッセージ)によってやり取りされています。日本では近年ショートメッセージによるやり取りがキャリアを超えて可能になりましたが、長年同一キャリア内のみのやり取りに限定されておりキャリアメールが主流になっていました。

プッシュ通知は携帯電話やスマートフォンだけではなくパソコンでも可能です。パソコンは携帯電話とは異なりスタンバイ状態で持ち歩くということはあまりないですが、パソコンのメールソフトでExchangeサーバーの設定を行っていればリアルタイムで受信が可能です。2016年10月20日に公開した記事で紹介した「POP3」や「IMAP」は、一定間隔でサーバーにメールの有無を確認する仕様になっていることから、リアルタイム性に欠けるデメリットがありました。

電子メールだけではなく、スケジュールや連絡先なども同期できる

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Microsoft Exchange ServerはPOP3やIMAPとは異なり電子メール以外にスケジュールや連絡先のプッシュ通知も可能です。

近年スマートフォンが普及したことで、個人においてパソコンやスマートフォンなど複数の端末を利用することも珍しく無くなりましたが、スマートフォンが一般個人に普及する前は、携帯型情報端末(PDA)やWindowsMobileを搭載したスマートフォン、BlackBerryなど、海外の一部のビジネスマンの間で、外出先で使用するモバイル端末とオフィスのパソコンとスケジュールや連絡先を常に同じ状態にしておきたい(同期)というニーズに答える役割もありました。

スケジュールや連絡先が端末間で同期が可能になることで、外出先でスマートフォンで入力したスケジュールや連絡先を、帰社した後にパソコンでも外出先で入力した同一のスケジュールや連絡先がすぐに確認できます。そのため、端末間で入力したスケジュールがバラバラな状態になることもなく、異なる端末でご自身で同じスケジュールや連絡先を再度入力するといった手間が削減できます。

利用するにはExchangeに対応したサービスと契約する必要があり

Microsoft Exchangeによるメールサービスを利用するには、サーバーにExchangeをインストールして利用する方法やExchangeが利用可能なメールサービスやグループウェアと契約して利用する必要があります。

大手企業などでは、自社内のサーバーにExchangeを導入して従業員にメールアカウントを発行するケースが一般的です。ご自身が借用しているパソコンの他、他の事業所などに出向いた際に一時的に借用したパソコンでも同一のメールアカウントが同じ環境で利用できます。

一方で、個人で利用するには各自でサーバーにExchangeをインストールするのは費用が高額であることや設定などが必要になることから現実的ではありません。そのため、個人で利用するにはあらかじめExchangeによるメールの送受信が可能なメールサービスやグループウェアを利用する方法がコストも安く抑えられる他、難しい設定も不要であり、最適な方法といえます。

個人事業などビジネスで利用するには、2016年9月15日の記事で紹介したMicrosoftの「Office365」を利用すると月額650円からメールやスケジュール、連絡先などが複数のデバイス間で同期できる他、他の従業員との共有も可能になります。また、Googleが提供しているグループウェア「G-Suite(旧:Google Apps for Work)」でもMicrosoft Exchangeが利用可能です。

個人の私用目的で利用したい場合は、Microsoftが無償で提供している「Outlook.com」やNTTコミュニケーションズのISP「OCN」が提供している「OCNメール」を使うと、ドメインが限定されるなど制約は付きますが、パソコンやiOS、Android、Windows Phoneを搭載したスマートフォンでプッシュ通知によるメール受信やスケジュール、連絡先同期などが可能になります。

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